人を基準にするのがユーザビリティ

UIデザインの基礎知識

 UI/UXに対する制作者の興味は特に高いものがありますが、毎月開催しているセミナーを通じて感じることは、UIやUXという「表現」を学びたいという人がとても多い。しかし、UIやUXというのは、分野としては地味なために、勉強したくてもわかりやすい書籍やセミナーを見つけ出すのも大変ですね。
 そこで、今回からシリーズで、ひと言ではなかなかわかりにくいUI/UXに関して、初心者にもわかりやすく、実戦で活躍されている方の気づきにもなる、他では絶対に教えてくれないUIデザインの仕組みや知識を、さまざまな角度から解説していきたいと思います。

WEB2.0がもたらしたWEB業界の進化

固定された情報の発信と受信という、ある意味一方通行だった従来のWEBの在り方を、「あらゆる人が、流動的に情報を発信したり受け取ったりできる」という、WEBの進化を提唱したティム・オライリーのWEB2.0という考え方が、2005年以降広く業界に浸透していきました。

ソーシャルネットワークの誕生やiPhoneなどのスマートフォンの進化によって、単に「使ってもらうこと」にエネルギーを注いでいたWEBサイトの表現は、「ユーザーの役に立つ、ユーザーに活用してもらうWEBサイト」へと変貌していくことになりました。
これまでは、単に情報を発信する人、単に情報を受け取る人というように、固定されていた登場人物の役割が、ソーシャルネットワークの台頭によって、発信者と受信者の垣根がなくなり、企業のサイトにおいても、ユーザーのサイト内での行動を分析する効果測定が盛んになり、ターゲットを明確にすることによって「戦略的な情報発信」が当たり前になったと言って良いでしょう。

エモーショナルな表現から、高いユーザビリティ表現へ

Flashコンテンツや動画コンテンツなど、ユーザーを楽しませたり、右脳で体感するような、比較的高価でエモーショナルな情報表現が当たり前の様に世の中にあふれかえり、クリエーターも腕を競う合うように海外の賞レースに積極的に参加することも日常になっていたころ、2008年9月のリーマンショックによって、バブル真っ盛りなWEB業界はどん底の「コスト削減」時代に突入しました。
 比較的表面的なデザイン性や演出に対してお金をかけていた企業サイトは、軒並みそういった演出表現に対して消極的になる一方で、ユーザーを獲得するためのコンバージョン率を高めていくための方法として、地味ですが少ないコストで効果を上げられる「ユーザビリティ」が着目され、スマートフォンの画面設計に威力を発揮できるUIという考え方によって脚光を浴びるようになったのもこの時代です。

人を基準に使いやすさを考えるのが、ユーザビリティ

ユーザビリティは、「使いやすさ」とか「使い勝手の良さ」などとひと言で説明することが多いわけですが、情報を発信する側とそれを利用する側の意識の違いに着目することが重要なので、単に、「Aのサイトは使いやすい」とか、「Bのサイトは使い勝手が悪い」と、評するのはマト外れと言わざるを得ません。

本来、ユーザビリティとは、

特定のユーザーが、特定の利用環境で、
ユーザーが求めている目的・目標を実現するために
最適化された使い勝手が実現されている

ということが本質ですから、Aさんにとって使いやすいサイト、Bさんにとっては使いにくいという、「ユーザーの視点」から使いやすさを論じる必要があると言えるでしょう。


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香西 睦

香西 睦

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