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WEBサイトおいて、最も大切なことは、自分たちが伝えたいことを書くのではなくて、サイトを利用するであろうターゲットユーザーが知りたい内容を、いかにユーザーの高い興味に沿ってまとめているかだと思います。
どんなに格好いいサイトであっても、どんなに素晴らしいことが書かれていたとしても、そのサイトに訪れるユーザーが「それ」に興味がなければ、そもそも読んでくれないわけですが、では、興味があればコンテンツをちゃんと読んでくれるのでしょうか?
みなさんご自身が、WEBサイトを検索している中で、さまざまなサイトを見たりしているとき、どのぐらいそのサイトを読んでいるでしょうか?案外、最初から最後まで読んでないのではないでしょうか?
今回は、ユーザーがサイトの情報に対して「どのぐらい興味があるのか?」という度合いによって、「読む範囲」や「読み方」が変わることについてご紹介します。
そのコンテンツは一体誰のための情報ですか?
WEBサイトというのは、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などのマスメディアと異なり、ユーザーがそのサイトのその情報に興味を抱かなければ、サイトを閲覧することもなければ、ボタンをクリックすることも産まれてこない、非常にシビアな行動から接触機会につながると言って良いでしょう。
ユーザー自身が「知りたい」と思うからこそ、Googleなどで検索して、内容に興味を抱いてくれて初めて、サイトへの接触機会が生まれるという「能動的なメディア」なのです。
そして、コンテンツを開いたとしても、内容に興味が湧かなければ、ろくすっぽ読まれもせずに即座に直帰されたりするかもしれません。
訴求したい内容を基準にしてコンテンツを企画する際、どうしても我々は「自分たちの目線」でテーマを決めたり内容を決めたりしてしまいます。
当たり前なことですが、Webコンテンツというのは、読んでもらえるからこそ価値があり、評価をしてくれるからこそ成果につながるわけですよね。しかし、すべての人が一様に同じように興味を持ってくれるワケではなく、人によって興味の度合いは変わるのが普通です。
であれば、興味の高い人へ向けて情報を発信することが最も効率的です。
そこで大切なことは、
「誰が」
「どんな情報を」
「どのぐらい求めているのか?」
だから、
「誰に」
「どんなテーマで」
「どういう風に伝えるのか?」
というロジックでコンテンツを作ることが必要になります。
その意味では、カスタマージャーニーマップを作ってみたり、ペルソナを設定してみたりするわけですが、問題なのは、その設定が自分たちに都合のいいように作られていないか?ということです。
作りたいモノコトに合わせて人物像や感情の変化を作り上げても、実際にそういう都合のいいユーザーがサイトに訪れてくれてコンテンツを読んでくれなければ、それは何の意味もありません。
WEBサイトやコンテンツを利用してくれるであろう「相手は誰なのか?」を見定めた上で、その人はほんとうは、「何を知りたくてサイトに訪れるのか?」を正しく把握して、ユーザーの利用目的や求めているゴールに基づいて、内容を吟味していくことこそが、本来あるべき戦略と言えるでしょう。
その上で、ユーザーが抱く興味が「どの程度高いのか?」が、コンテンツの表現方法や内容において大変重要な意味を持っていると言えます。
知りたいと思う興味の違いが、情報の「読み方」や「読む範囲」の違いを生み出す
例えば、スケートの羽生結弦選手が、試合で「優勝したのか?」「4回転は成功したのか?」「何回飛んだのか?」など、興味がある人は演技を見たいとばかりに、テレビにかじりついたりニュースサイトをむさぼるでしょう。
一方で、彼に対してさほど「興味がない」という人は、そこまで能動的に結果を知りたいとはなりませんね。
しかし、多少なりとも羽生選手に興味があれば、「優勝したか?」ぐらいは知りたいと思うが、どんな演技だったのかまでは深く知りたいとは思わないのではないでしょうか。これがユーザーの「知りたい度」です。
ユーザーの「知りたい度」の違いが、コンテンツ側の表現方法を左右する
まったく同じ情報に触れるとしても、人によって興味・関心の度合いが異なるために、興味・関心が低い人は、特に知りたいと思わないので接触機会は生まれませんが、興味・関心が高ければ高いほど、非常に能動的にユーザー側から情報へ接触してきて、ユーザーが納得できる情報量を収集することになります。
結論だけを早く知りたい、ライトなユーザー
サイトを利用するユーザーの中で、比較的多いことが予想できるのが「結論を早く知りたい」という人たちです。
彼ら彼女らは、さほど高い興味を持っていない「なんとなく知りたい」という人たちですから、コンテンツをスミからスミまで読んでやろうという気概はまったくなく、むしろタイトルや写真などのビジュアル程度しか見ていないと思われますが、サイトを利用する目的は、結論や要点を知りたいというだけなので、サイト全体を俯瞰して、どこを見れば「目的達成できるか?」という観点で、サイトを眺めていると言えるでしょう。
だから、この人たちには、クドクドとした内容はまったく不要で、簡潔で直感的な情報が求められます。
・見出しや画像から要点を理解する
・コンテンツ全体を俯瞰して、必要なところだけを見る
・本文はほぼ読まない
こういう傾向のユーザーには、端的に結論を伝えることが重要で、読んでもらおうなどと考えることはムダに近い。
興味があることだけを知りたい、ピンポイントなユーザー
ある程度具体的なテーマがあり、知りたいことだけを追いかけているようなユーザーは、本当に知りたいことを特定できれば、その部分だけを読むか、大雑把に斜め読みや流し読みして、ざっくりと理解する傾向があると言えます。
彼ら彼女らは、結論だけでなく、経緯や背景についても興味・関心があるが、非常にピンポイントに興味があるだけなので、全文をくまなく読むまでの知りたい度とは言いがたいと言えるでしょう。
だから、斜め読みや流し読みしやすいように、文章の体系を編集しておくことが大切です。
・斜め読みしやすいように、小まめに見出しを付ける
・箇条書きを積極的に使う
・できるだけ結論から入る文章にする
こうした文体にすることで、結論だけを知りたいユーザーに対しても、興味を喚起しやすいために、多くのユーザーを引き留められる。
腹落ちするまで知りたい、能動的なモチベーションのユーザー
比較的高い興味と関心を持つユーザーは、結論に至る経緯やその理由、または周辺の状況や背景など総合的な情報までもくまなく読み込むことで、正確な情報を得て理解をしようとするモチベーションを持っていると言えます。
彼ら彼女らは、制作者の意図したとおりに、全文をくまなくスミからスミまでしっかりと読み込んでくれることでしょう。
こうしたユーザーをいかに獲得できるかが流入施策の腕の見せ所かも知れませんが、内容に合ったユーザーを誘導するというより、来訪するユーザーに合致した内容を用意する事で、この方程式は容易に解決を得ることでしょう。
・情報に貪欲な傾向がある
・多少の長文も苦にしない
・雑誌のような編集方法でも最後まで読んでくれる
・外堀からじっくりと埋めるように、理解を深めていく
比較的多くのサイトが表現している編集方針にも付いてこれるユーザー層ではあるものの、結論が遠い文体では途中で挫折するユーザーも出るため、やはり結論をいかに早く伝えるかの努力はするべきである。
関連する情報を網羅して完璧に知りたい、多角的にアプローチするユーザー
非常に高い興味・関心を持つ能動的で積極的なユーザーは、一方向からの論点だけでなく、別の角度や切り口の他社の情報も含めて、関連する情報を網羅的に閲覧していくことで、情報を比較・検討し、非常に高い次元で情報を自分のものとしてしっかりと理解することができると言えます。
彼ら彼女らは、関連情報へのリンクにも積極的に遷移したり、Googleを用いて同種のテーマを検索しては閲覧するような、リテラシーの高い人たちです。
ここまでコンテンツを網羅し活用できる人は、とても高い次元のロイヤリティを持ち合わせた関係値であるため、ごく一部のユーザーに限られることでしょう。
・サイト内回遊してくれる
・関連リンクも閲覧する
・ユーザー自身が同種テーマを積極的に探せる
放っておいても自発的にコンテンツを見てくれるので、非常にありがたいコアユーザー層である。
読んでもらえることが、当たり前としている編集方針の昨今のWEBサイト
しかし、実際の多くのWEBサイトの編集方針は、雑誌など紙媒体で培った方法がそのまま踏襲されていることが多いために、WEB特有にユーザー行動や閲覧方法との間に乖離があると言わざるを得ません。
一般的に、複数ページのコンテンツではページが進むにつれて、閲覧数が減少していくため、結論がまとめられた最終ページまでユーザーを誘導できないことが多い。そのために、さまざまな手を策を練って誘導しようと躍起になっているかも知れません。
だから、釣り記事や釣りタイトルは後を絶たず、最後まで読んでみたが、結論が無く拍子抜けな文章だったり、結論がどこに書いてあるかを直感的に把握できないために、途中で断念して離脱してしまうユーザーもいることでしょう。
こうした実態を踏まえて、改めて「ユーザーの知りたい度」を考えてみると、多くのWEBサイトやコンテンツは、制作者側が伝えたいという気持ちが強すぎるために、「ちゃんと知りたい」ユーザーなら付いてこられるような編集体系や文章量に成ってしまっているのではないでしょうか?
そして、裏を返せば、知りたい度が「ちゃんと知りたい」という人だけがターゲットになっていないでしょうか?
本来であれば、「結論だけを知りたい」「気になることだけ知りたい」というユーザーであっても、そのサイトやコンテンツのターゲットユーザーであるべきですし、むしろユーザー層で言えばこうしたユーザーの方が、圧倒的に数は多いわけですから、Webコンテンツは、常に彼ら彼女らが苦もなく直感的に読めて、容易に理解ができるような体系であるべきなのではないかと思います。
だから、私たちは、常に「誰に、何を知ってもらいたいのか?」を自問し、ユーザーが最も知りたいことを主体にしつつも、ライトなユーザーにも伝わるエクスキューズを用意しながら、深く知りたい人の欲求にもきちんと応えられるシームレスな閲覧環境を用意することが重要と言えましょう。
作り手の論理でコンテンツを作らない。
知りたい度を考えたユーザー視点を持とう!
WEBサイトは能動的なメディアであるからこそ、ユーザーの視点を忘れてはならないし、ユーザーが興味を持ってくれるからこそ、ユーザー体験が生まれる。
結果としてサイトの価値が上がることで、直帰や離脱が削減できます。
1.そのサイトは誰が閲覧するのか?
2.誰が、何のために、何を知りたいから、サイトへ来るのか?
3.サイトとして、どんな情報を伝えることで、
ユーザーにベネフィットを提供できるのか?
4.会社として求めるサイトのビジネスゴールは何なのか?
5.そのためには「何を、どう変えると、それが実現できる」のか?
ということを戒めてみてはどうでしょうか?