ドアインザフェイス(譲歩的要請法)

判断過程

断られる前提で無理な要求を提示した後、
受け入られやすい本題を提示する交渉術。

まず最初に、無理だとわかっている過大または過剰な要求を提示し、相手からわざと断られたあと、本題となる小さな要求を提示する方法で、当初の提示よりも小さな頼み事にすることで、受け入れてもらいやすくするという「人間心理」を巧みに利用した交渉術。

一般的に人は、相手に対して借りができると、負い目を感じてしまい、借りを返したくなる「返報性の心理」という心理状態に陥りやすいため、最初の提示を断ってしまったという罪悪感から、「それくらいなら……」と、比較的容易な本題の提示を承諾してもらいやすくなるというもの。
重要なことは、物理的に「借り」がある必要はなく、心理的に「譲歩してもらった」という状態にすることで、この「譲歩」によって、返報性の心理が働き「自分も譲歩してあげよう」という気持ちになる。
また、このとき、断られることが前提であっても、ハードルを上げすぎた無理難題を要求しないことが大切で、真剣に向き合ってくれないことになるため、最初の提示は低すぎず高すぎない「ちょっとそれは…」と思う程度が良い。
特に、日本人は生真面目で義理堅い傾向があるため、返報性の心理が働きやすい。

ちなみに、ドアインザフェイスという名称は、訪問販売員が門前払いされることを前提に、とりあえずドアから顔を覗かせる動作になぞらえて付けられた。

具体例

  • 突然友人に100万円貸してくれと頼まれるが、さすがにそれは無理なので、10万円ならと、貸してあげた。

  • 明日朝までに資料を提出したいと突然クライアントに言われたが、明後日ならと返事をしたら、快諾いただいた。

  • 案件の見積が300万円、しかしクライアントの予算は100万円と隔たりがあったが、150万円なら何とかすると歩み寄っていただけた。

提唱者・発祥エピソード

社会心理学者ロバート・B・チャルディーニ氏が、1966年に発表した「返報性の原理」を利用した論文「非行少年と動物園に行く」の中で示された実験では、大学構内で学生を呼び止め、「非行少年グループを動物園に連れて行くので2時間ほど手伝って欲しい」という依頼を受け入れた学生はわず17%だった。
これに対して「2年間、非行少年のカウンセラーを週2時間やって欲しい」という難題を先に提示したあと動物園の話を要請したところ応諾率が50%上がった。


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参考文献・参考サイト

ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック
https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-11884.html

MBA用語集

ドアインザフェイスとは
https://biz-shinri.com/dictionary/door-in-the-face

ビジネス心理学

【行動心理学】ドアインザフェイスの語源や意味とは?具体例や注意点を紹介
https://u-note.me/note/67660

U-NOTE

ドアインザフェイスとは
https://biz-shinri.com/dictionary/door-in-the-face

ビジネス心理学

ドアインザフェイスとは?具体例で学ぶ交渉術
https://makefri.jp/sales/6829/

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香西 睦

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論理的で客観的なデザイン理論と、ユーザーの視点に立った情報デザインは、Webサイトの課題を見極め、わかりやすいインタフェースを実現!

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香西 睦

香西 睦

「だから、そのデザインはダメなんだ。(エムディエヌコーポレーション刊) 」の著者。 論理的で客観的なデザイン理論とユーザー視点の構造設計・情報デザインを用いて、Webサイトの課題を見極め、Webサイトの性能をアップさせる利用者の目線に立ったわかりやすいインタフェースの設計で多くの企業様のお手伝いをしてきました!

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