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思い出しやすい記憶や
経験則から意志決定をしてしまう。
人は、自身の記憶から「思い出しやすい事柄」や入手しやすい「直前に見たもの」を基準にして、意志決定や判断を下してしまう傾向が強い。
だから、無意識のうちに、見聞きした情報や経験則の中から、特徴を過度に捉えたり好き嫌いなどの偏った感情を形成する要因になりやすい。
そもそも人は、直感的に意志決定を行うシステム1(速い思考)と、熟考するシステム2(遅い思考)を使い分けて情報を処理しており、多くの情報処理は高速にショートカットする方を好むため、詳細にモノゴトの善し悪しを都度検討するのではなく、いくつかの代表的な事柄を用いて、かんたんに結論を導き出している。
利用可能性ヒューリスティックによるバイアスが発生しやすい要因には次の3つがある。
・想起容易性:
インパクトのある記憶や繰り返し触れる情報
・検索容易性:
いつも利用する定番の記憶など優先される情報
・具体性:
個人的に経験した事や知人から聞いた具体的な話
ちなみに、《経験則》から意志決定を行う際の手法として用いられる「利用可能性ヒューリスティック」は、《先入観》から意志決定に偏った影響を与えてしまう「確証バイアス」とは区別される。
表現可能なデザインパーツ
具体例
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歯医者とコンビニと不動産屋だったらコンビニが一番多いと、感覚的に考えてしまう。
※2020年調査でコンビニ56,000軒に対して、歯医者69,000軒、不動産屋126,000軒 -
商品をお店で選択する際、初めてみる商品よりもいつもCMなどで目にしているブランドのものを選んでしまう。
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いつも発注する人物に頼んでおけば、仕事の内容に関わらずうまくやってくれると思ってしまう。
提唱者・発祥エピソード
2002年にノーベル経済学賞を受賞した行動経済学者ダニエル・カーネマン氏と認知学者で数理心理学者のエイモス・トベルスキーは、「ヒューリスティックとバイアス」という共同研究による論文の中で、 これまで「人間は合理的な行為者である」とされていた人間の判断における見解を、不確実性の下での判断は「限られた数の単純化されたヒューリスティックに依存することが多い」と解説。
1973年、「Availability: A Heuristic for Judging Frequency and Probability」という論文を発表し、この現象を「利用可能性ヒューリスティック」と名付けた。
参考文献・参考サイト
利用可能性ヒューリスティック (AVAILABILITY HEURISTIC)
KEY FACTOR for SUCCESS
脳は節約志向行動を生む思考のショートカット
https://valueinnovation.biz/heuristic/
利用可能性ヒューリスティック
UX TIMES
https://uxdaystokyo.com/articles/glossary/availability-heuristic/
【利用可能性ヒューリスティックとは】心理学的実験から日常例までわかりやすく解説
リベラルアーツガイド
https://liberal-arts-guide.com/availability-heuristic/
利用可能性ヒューリスティックとは|意味と要因、ビジネスでの活用場面も紹介
Musubuライブラリ
https://library.musubu.in/articles/38372