記憶の多重貯蔵モデル

記憶・分析過程

感覚記憶、短期記憶、長期記憶という
3つの記憶段階で保持・保存される記憶のメカニズム。

記憶は、役割や機能の違いにより、大きくわけて3つの段階から構成されており、過程の違いによって、それぞれに最適な貯蔵場所と、保持・保存に必要とされる時間も、数秒〜数十年の長さに違いがある。
結果、人は非常に多くの知識を保持し、それらの知識は日常的に繰り返し活用されている。


五感(視覚・聴覚・臭覚・味覚・触覚)から受けとる外界からの刺激情報を、情報の意味や種類を理解するまでの間、一時的(1秒〜数秒程度)にストックしておく場所を感覚記憶(感覚貯蔵庫)と言い、その中から「選択的に注意」が向けられた必要な情報だけが「短期記憶」に移送される。
短期記憶には、数秒〜約20秒程度保持され、不要なものから上書きされていく。
短期記憶は、単に情報を保管するだけでなく、情報を分析・処理する記憶の中でもっとも機動的に活用される場所となる。
その後、一般的に活用が期待される情報だけが、リハーサルと言われる何度もくり返す記憶と忘却の反復を経て、第三の貯蔵庫である長期記憶(長期貯蔵庫)に刻まれる。

具体例

  1. ゲームのプレイ中に目や耳から得られるプレイ状況が「感覚記憶」、状況の意味を理解し、過去の失敗と比較し対応方法を決定する「短期記憶」、過去の実績やワザの種類などをストックしておく「長期記憶」に当たる。
  2. コンピュータに例えると、「感覚記憶」はキャッシュメモリ、「短期記憶」はRAM、「長期記憶」はハードディスクやSSDなどの記憶メディアの役割に当たる。
  3. サイトのテイストや機能の表層的デザインを「感覚記憶」で受け取り、その意味や使い方を理解・対応するのが「短期記憶」、前回利用状況や同類他社サイトなどのストック情報が「長期記憶」に当たる。

提唱者・発祥エピソード

1968年、記憶の保持時間に着目した、アメリカの心理学者リチャード・アトキンソン教授とリチャード・シフリン学術顧問による「二重貯蔵モデル(dual storage model)またはアトキンソン−シフリン理論(Atkinson-Shiffrin theory)」によって明確化された。

参考文献・参考サイト

感覚記憶とは?意味や種類、短期記憶・長期記憶との関係について具体例とともに解説
https://psycho-psycho.com/sensory-memory/

Psycho Psycho

記憶の多重貯蔵モデル
https://uxdaystokyo.com/articles/glossary/modelofmemory/

UX TIMES

長期記憶・短期記憶のメカニズムを知り、効果的に学習する方法とは?
https://www.katsuiku-academy.org/media/memory/

KATSUIKU ACADEMY

【記憶】三つの記憶貯蔵庫・感覚貯蔵庫・短期記憶・長期貯蔵庫(長期記憶)
https://psychology-effect.com/記憶/三つの記憶貯蔵庫/

心理学の教科書・基礎からの心理学

【記憶の二重貯蔵モデルとは】系列位置曲線などからわかりやすく解説
https://liberal-arts-guide.com/dual-storage-model/

リベラルアーツガイド

認知と記憶のメカニズムを解説!ユーザーを理解するための認知心理学の基礎
https://sevendex.com/post/5619/

SEVEN DEX POST

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香西 睦

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