ヒックの法則(ヒック・ハイマンの法則)

判断過程

選択肢が多ければ多いほど、
意思決定に時間を要してしまう。

人は提示される選択肢の数や複雑さに応じて、意思決定に要する時間が長くなる現象を、定量的に示した法則。
また一方で選ぶ行為は、人にとって精神的なプレッシャーを感じるハードルの高い行為であるため、選択肢が多くなるほど迷ってしまうだけでなく、選択肢が多いために選ぶことを辞めてしまう。

ヒックの法則では、人が意思決定に必要な時間を公式を用いて求めることができる。
ユーザビリティの性能を定量的に比較する方法として用いられる普遍的な法則。

公式 RT = a + b × log2 ( n + 1)



RT=反応するまでの時間(Reaction Time)
a=意思決定を除く所要時間
b=意思決定にかかる時間(≒ 150ミリ秒)
n=等しく可能性のある選択肢の数

ちなみに、瞬時に意思決定を必要とする場合にはシンプルであることが効果を高める一方で、内容を詳しく調べて、時間をかけて吟味するような性質の場合は、一度に多くの選択肢を用いる方が、見落としが少なく正確な意志決定ができるという点で、ユーザーにとっては効率的に情報を選択できる。

具体例

  • 携帯電話の料金プランなど複雑な選択肢は、判断ができず諦めてしまう

  • 陳列される商品を選ぶ際、選択肢が少ない方が商品選びに迷わない

  • ナビゲーションのメニューはカテゴリー分類し、一度にみるメニュー数が少ない方が直感的

提唱者・発祥エピソード

実験心理学やエルゴノミクスの先駆者として有名なイギリスの心理学者ウイリアム・E・ヒック氏が1951年に提唱し、その後1952年に、アメリカの心理学者レイ・ハイマン氏がさらに発展させたもので、「ヒック・ハイマンの法則」ともいう。
コロンビア大学のシーナ・アイエンガーがスーパーのジャム売り場で行った「ジャムの実験」が有名。
実験の結果、6種類のジャムのコーナーで試食した人の購入率が、24種類のジャムの購入率の10倍となった。


ホーム UIデザインをランクアップ!認知心理用語事典 判断過程 判断-理論[法則] ヒックの法則(ヒック・ハイマンの法則)

参考文献・参考サイト

UIデザインのための心理学:33の法則・原則(実例つき)
https://baigie.me/officialblog/2022/03/29/psychology_for_uidesign/?fbclid=IwAR1AeB7Ma0-MPLtlameVhsSJRW1wXUWkBDhkwib6E-1CEkSNuDWI3dk8rRM

knowledge/baigie

ヒックの法則
https://uxdaystokyo.com/articles/glossary/hicks-hymans-law/

UX TIMES

ヒックの法則
https://three-philosophers.com/uiux/interface/hicks-law.html

Three Philosophers

【ヒックの法則】ユーザーを迷わせないためのWebサイト制作
https://www.baycross.jp/column/production/hicks_law

BAYCROSS

ヒックの法則
https://www.sociomedia.co.jp/259

Sociomedia

ヒックの法則とは?ユーザーの負担を減らすWebサイト制作
https://designalpha.jp/knowledge/marketing/hickslaw

DESIGN α

企業内セミナーや社員のUI/UXスキルアップ講座の開催を
ご検討の企業様からのお問い合わせはこちら

香西 睦

香西 睦

論理的で客観的なデザイン理論と、ユーザーの視点に立った情報デザインは、Webサイトの課題を見極め、わかりやすいインタフェースを実現!

同じテーマのおすすめ記事

人気コンテンツ

  1. 1

    短期記憶に関するミラーの法則(マジカルナンバー)

  2. 2

    UIデザイン・認知科学講座:01|UIデザインが必ずわかりやすくなる心理テクニック

  3. 3

    非注意性盲目(ミスディレクション)

  4. 4

    05:ユーザー視点で作る高い説得力を持つUI設計&提案書

  5. 5

    意味記憶

最近の記事 おすすめ記事 特集記事
  1. シャルパンティエ効果

  2. [11月4日]福岡DAY2セット|直感的で使いやすいUIデザインが作れる!

  3. [11月3日]福岡DAY1セット|直感的でわかりやすいUIデザインが作れる!

  4. 手続き記憶

  5. エピソード記憶

  1. 近接の法則

  2. 類同の法則(類似性の法則)

  3. シグニファイア(知覚されたアフォーダンス)

  4. 画像優位性効果

  5. 選択的注意(カクテルパーティー効果)

  1. あらゆる人に直感的でなければいけない、エラー表示と使えないヘルプ

  2. わざわざ入力を面倒くさくしているドロップダウンリスト

  3. ユーザーの「知りたい度」によって変わる、「読み方」と「読む範囲」

  4. カッコいいだけなのはデザインとは言わない。

  5. UIデザインはデザインではなく統計だ!

香西 睦

香西 睦

「だから、そのデザインはダメなんだ。(エムディエヌコーポレーション刊) 」の著者。 論理的で客観的なデザイン理論とユーザー視点の構造設計・情報デザインを用いて、Webサイトの課題を見極め、Webサイトの性能をアップさせる利用者の目線に立ったわかりやすいインタフェースの設計で多くの企業様のお手伝いをしてきました!

TOP