2つの思考モード(二重過程理論)

認知-概念[原理・原則]

99%を自動処理する直感の速い思考と、
ミスをカバーする熟考の遅い思考。

人の脳は情報を処理する際、直感や経験則に基づいて無意識に判断する「システム1(速い思考)」が、99%の判断を自動処理しているが、錯覚や誤認などの判断ミスを起こしやすい。
また、直感では処理できない問題や「システム1」の誤判断を、理性が制御し熟考して判断する「システム2(遅い思考)」の2つのモードを使い分けて、脳が受ける負荷を最小限にできるよう効率的に処理されている。


脳が処理する日常における情報は無意識のうちにほとんど「システム1」が自動処理するため、バイアス(錯覚や誤認)などの外的影響を受けやすい。
それに対して「システム2」では、直感で処理できない情報処理や、「システム1」が犯した判断ミスを再処理を担当しているが、複数の判断を同時に行うことができず、飲酒や睡眠不足などの影響を受けて機能低下しやすい。行動経済学のあらゆる理論の根幹となる概念。

ちなみに、「システム1」は生命を維持するために欠かせない直感的で瞬間的な判断を担っているが、一方で判断エラーを起こしやすい。
エラーが起きる原因として、数百万年程度しか経っていない人間の進化に対して、文明は数千年で急速に発展・進歩し過ぎているために、原始的な脳構造が、新しい考え方に適応できないため、最適な判断ができずにエラーを起こすと考えられている。

2つの思考モード(システム1《速い思考》・システム2《遅い思考》)とは、直感や経験則で無意識に判断する「速い思考」、理性的で意識的に熟考を必要とする「遅い思考」をいう

具体例

システム1の速い思考の具体例を挙げると、

  • 遠くの人影を見て仕草から誰だかわかる
  • 音がする方へとっさに振り向く
  • 色やカタチだけで瞬時に意味を把握できる

システム2の遅い思考の具体例を挙げると、

  • 時間調整しながら目的地へ行く
  • 情報の優劣を比較して選ぶ
  • 欲しいと言う欲求をガマンして、最終的に選ばない
  •  

提唱者・発祥エピソード

2000年心理学者キース・E・スタノヴィッチ氏とリチャード・F・ウェスト氏によって、速い思考を「システム1」、遅い思考を「システム2」と命名された。

参考文献・参考サイト

二重過程理論とは|心理学のシステム1・2を具体例でわかりやすく
https://do-kigyou.com/dual-process-theory

女性が幸せになるための仕事を

2つの思考モード
https://uxdaystokyo.com/articles/glossary/system1-system2/

UX TIMES

「速い思考」と「遅い思考」ノーベル賞学者ダニエル・カーネマンが解き明かす
「ファスト&スロー」という我々の脳の習性
https://data.wingarc.com/fast-and-slow-19160

データの時間

脳の「システム1」と「システム2」とは?事例付きで徹底解説|仕事に使える行動経済学
https://asu-yoku-laboratory.com/behavioral-economics-system1-system2

社会人の教養

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香西 睦

香西 睦

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